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     津名道代著 
      四六判 468ページ 
        2,993
        円(税込) 
        2011年5月刊 
        ISBN978-4-89259-618-6  | 
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      日本歴史を彩った二つの流れ――「天つ神」情念と「国つ神」情念。「天つ神」史に埋もれ、隠され、覆われるかに見えながら、「国つ神」は民衆の土壌深くその瀬音を奏でてきた。拮抗する二つの情念を「史耳」を駆使して読み解く。 
      第一章 歴史の深層―〈情念〉 
 1 己れの隠れた部分を知ること 
 2 「人間のこころの構造」と「歴史の構造」は似ている 
 3 〈情念〉 
 4 「流れ」としての把握 
 5 「鎮魂の季節」と「魂ふりの季節」のうねり 
第二章 「国つ神」と「天つ神」 
 1 「国つ神」族と「天つ神」族 
 2 神事に隠された「国つ神」族のうめき 
 3 二十世紀の歌謡と、二つの異質な情念―「暁に祈る」と「空の神兵」 
 4 ふるさと原風景の形成―「国つ神々」共存の世 
 5 「国つ神」社会の「文化体力」基盤はつよかった 
    ―@水田稲作と、Aオオナムチ・スクナヒコナの神薬 
 6 「天つ神」に化けた「国つ神」―〈情念〉分岐の発端と、一つのからくり 
第三章 隠された「ヒメ・ヒコ」構造 
 1 「尾(ヒメ)」と「頭(ヒコ)」―「国つ神」時代(弥生)の統治構造 
 2 われ、天つ神の御尾前に「頭八咫烏」となりて… 
    ―敗者「国つ神」カモ・コトシロヌシの新国家構想 
 3 追われゆく「尾」 
 4 永遠の黒子実力者X氏(カモ族) 
 5 現在にまで連綿とつづく「ヒメ・ヒコ」一対二元統治構造 
第四章 情念のひずみ 
 1 「祓い」という考え方―情念のひずみ、ここにはじまる 
 2 わが国の共同体のクセ、人間のクセ 
 3 自然とのつきあいは「個」でできるのに、人間とのつきあいは「集団」にまぎれて 
第五章 歴史の全貌をとらえるための、「国つ神」視座の復活 
 1 「物語」のなかでもうひとつの歴史≠語り継ぐ習性 
 2 『平家物語』の隠れたテーマ―三種神器の「剣」を奪回したヤマタノオロチ 
 3 慈円の「史耳」 
 4 人間真実の「うつくしさ」―二つの情念が交叉渾融した刹那・『平家物語』 
 5 「祓い」構造の克服―「悪」をわが内に取り込む法然・親鸞 
第六章 「国つ神」情念史への旅立ち 
 1 「清姫」を入口にして 
 2 「清姫」の破砕と分光 
補 章 「間の山」幻想―もう一つの伊勢・追われた者のゆくえ― 
 1 「間の山」の古代地名が語るもの―尾上坂・牛谷坂そして隠ヶ岡(尾部山) 
 2 伊勢の国譲りと、女取られる「尾」 
 3 お君と米友―近世「間の山」のヒメ・ヒコ 
 4 日本民衆の宗教的心性の特徴―身代り≠ニいうこと、その光と影 
 5 「施身聞偈」の流れ―いろは歌と、無常観から無常感・無情感・無情哀感へ 
「史耳」ということ―あとがきに代えて   
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