京都南、移転集落水垂（みずたれ）の歴史と生活

京都・桂川右岸の堤防上に一本の線のように並ぶ水垂（みずたれ）集落。度重なる水害により過去100年の間に２回も全村移転する運命に見舞われた同村の歴史と生活が、佛教大学歴史学部のフィールドワークにより甦る。

第一章　地図にみる水垂地区の変遷（植村善博）
一　約三〇〇年前の水垂付近
二　約二二〇年前の淀川絵図
三　約一八〇年前の火災図
四　約一四〇年前の地籍図
五　約一二〇年前の仮製二万分の一地形図
六　約六〇年前の一万分の一地形図
七　約一〇年前の一万分の一地形図
第二章　水垂の地形と淀水害史（大邑潤三）
一　淀と水垂の地形
二　明治一八年の水害と水垂
三　その後の水害
　　（一）明治二二年の水害
　　（二）明治二九年の水害
　　（三）明治三六年の水害
　　（四）明治四〇年の水害
四　淀川改良工事後の大正六年水害
五　水害の特徴と淀川改良工事の影響
第三章　近世水垂の寺院と神社（山本望実）
はじめに
一　近世の淀姫社について
二　近世の大徳寺について
三　近世水垂の祭礼
四　神輿神号をめぐる争論
五　明治期の与杼神社と大徳寺
おわりに
第四章　近代水垂のあゆみ（藤田裕介）
はじめに
一　近代地方制度の展開と水垂
　　（一）戸籍編製と戸長設置
　　（二）三新法の成立
　　（三）市制・町村制と三村の分裂
　　（四）久世郡への編入と樋爪村の反対
二　西南戦争と水垂の舟運
おわりに
第五章　水垂の歴史と集落移転（植村善博）
はじめに　
一　第一期　古代・中世
二　第二期　近世〜明治三〇年頃　
三　第三期　明治三三年〜平成一九年
四　第四期　平成一九年〜現在
第六章　聞き取りによる水垂の暮らしと文化（細里わか奈）
はじめに
一　生活
二　生業
三　まつりと組織
四　災害の記憶
五　平成の移転
第七章　平成期における水垂町移転の経過について（西庄英晴）
はじめに
一　埋立・引堤事業計画
二　埋立地造成工事の着工
三　桂川引堤事業の始まり
四　新たなまちづくり
第八章　観音山常念寺の歴史（本多廣賢）
あとがき