近世福山城下町の歴史災害

歴史時代に発生した災害を史料に基づき詳しく正確に復原し、それをもとに防災・減災の知恵を抽出し、将来の街づくりや地域計画に活かす――近世福山城下町を事例に歴史学・地理学の立場から追究した歴史災害研究の成果。

I 章　序　論　
1．はじめに
（1）刊行に至るまで
（2）筆者の研究分野
（3）復刻出版の意味
（4）福山とのかかわり
2．研究の対象と目的
（1）災害の定義と分類
（2）歴史災害の視点
（3）研究の目的と方法
3．本書にかかわる筆者のこれまでの研究略史
4．本書の特徴

II 章　研究対象の地域と期間　
1．研究対象の地域と期間の妥当性
2．研究対象地域の概観
（1）基礎情報
（2）自然環境
　　地形
　　気候
　　水文
（3）人文・社会環境
　　都市
　　土地利用・産業
3．研究対象期間

III 章　歴史災害の概要と時間的・空間的変化　
1．近世の「福山城下町災害史年表」の作成
（1）作成基準
（2）「福山城下町災害史年表」
2．歴史災害の概要
（1）歴史災害の年別・災害種類別発生回数
（2）災害発生の経年変化
（3）災害発生の季節性
（4）災害発生の地域性
3．歴史災害に影響を与えた「小氷期」と近年の災害
4．歴史災害の表現事例
（1）地震
（2）火災
（3）洪水
（4）旱魃
（5）高潮
5．まとめ

IV 章　城下町の建設とその後の変化　
1．城下町の建設
2．城下町の変化
3．城下町周辺地域の変化
4．まとめ

V 章　環境条件から求めた被災域　
1．災害と自然環境、人文・社会環境
2．水害の事例
（1）洪水
（2）渇水
（3）高潮
3．被災域を環境条件から求める方法とその結果
4．まとめ

VI 章　防災・減災対策とその効果の評価　
1．ハード対策
（1）防災・減災施設
　　河川・水路・堤防
　　福山上水
（2）砂留
（3）水制
（4）溜池
2．ソフト対策
（1）防災・減災施設の修理・維持管理
（2）水防令の制定とその改正
（3）救済措置
　　起こし鍬下年季仕法
　　救い米など
　　義倉と社倉
（4）雨乞い・止雨の祈祷
3．防災・減災対策の効果の評価
4．まとめ

VII 章　歴史災害から抽出する防災・減災の知恵　
1．先人の知恵とその抽出方法
2．福山城下町にかかわる防災・減災の知恵
3．知恵を伝える方法
4．活用の方途
5．まとめ

VIII 章　結　論　
1．まとめ
2．本研究の課題と展望
3．おわりに