                                                 
排除や差別にさらされ、周縁化されてきたマイノリティとしての移民は、どのような住環境のもとで暮らしてきたのか。アメリカ、カナダ、アジアにおける日系移民の生活世界を多様な視点から浮き彫りにする。
はじめに
第1部 アメリカ世界に住むこと
第1章 日本人移民と住まい
─戦前のアメリカ西海岸を中心に─ (大原関一浩)
1 はじめに
2 20世紀初頭の日本人移民と住まい
3 ワシントン州の農家の場合
4 カリフォルニア州の農家の場合
5 都市部における日本人の住環境
6 1930年代の住宅事情
7 おわりに
コラム 戦前のシカゴにおける日本人・日系人の居住パターン
─国勢調査原票の住所分析から─ (デイ多佳子)
1 はじめに
2 初期の日本人居住地区
3 1930年〜40年代の日系人居住区
4 おわりに
第2章 ホノルルにおける日系人の白人家庭労働
─『日布時事』の記事などにみる─ (飯田耕二郎)
1 はじめに
2 仕事の種類・内容・給料、就業者の多い地域
3 U. S. Censusや人名録にみられる従事者数
4 1910〜40年代の新聞記事にみる労働者の様相
5 その後とまとめ
コラム ホノルル風呂屋物語
─一世移民の盛衰とともに─ (鈴木 啓)
1 日本式風呂屋の誕生
2 最盛期を迎える
3 風呂屋(銭湯)の終焉
第3章 安住と定住を求めて
─カリフォルニア州のユダヤ人と日系人を手掛かりに─ (駒込 希)
1 はじめに
2 カリフォルニア州のユダヤ人と日系人
3 1913年外国人土地法の成立過程
4 1913年外国人土地法とユダヤ系新聞
5 結びと今後の課題
コラム 戦後におけるブラジル・トメアスー移住者の住居 (半澤典子)
1 トメアスー移住地建設経緯と移住者の生活
2 住居とその機能
3 都市部の住居設備
4 おわりに
第2部 別世界に住むこと
第4章 バンクーバーにおける日本人移民社会とスペイン風邪
─日本語新聞『大陸日報』からの分析─ (河原典史)
1 はじめに─世界を襲ったスペイン風邪─
2 カナダ日本人移民社会の萌芽
3 『大陸日報』にみるスペイン風邪
4 ボランティア活動の人びと
5 今後の課題─おわりにかえて─
第5章 バンクーバーの日本人健康相談所
─その結核予防への取り組み(1932〜1942年)─ (坂口満宏)
1 はじめに
2 1930年代のカナダに在住していた日本人と「病」に関する統計
3 日本人健康相談所の発足
4 健康相談所の取り組み
5 日本人健康相談所が抱えていた活動上の課題
6 日本人健康相談所にみる活動の特徴
コラム 宗教と感染症
─アメリカ移民社会のジレンマ─( 志賀恭子)
1 移民社会の感染症リスク
2 信仰的解釈と予防対策との対立
3 行政の対応と信仰的解釈の一致
4 むすびにかえて
第6章 戦時強制収容施設という「住居」
─日系人たちのすまいをめぐる苦闘─ (尾上貴行)
1 はじめに
2 アメリカ本土の日系人強制収容
3 すまいに関する諸相
4 「住居」としての強制収容施設
5 今後の課題─おわりにかえて─
第7章 マンザナー国定史跡における復元プロジェクト
─日系人抑留者の庭園と鯉池─ (秋山かおり)
1 はじめに
2 「マンザナー」とは何か
3 復元からみる日本庭園建設ラッシュ
4 家族のための鯉池
5 復元プロジェクトから知る抑留者の日常
6 おわりに
コラム テキサス州クリスタルシティ抑留所に
建設されたプール (堀 江里香)
1 唯一の家族専用抑留所
2 ジュネーブ条約と居住環境
3 被抑留者によるプール建設工事
4 プールと人種分離
5 80年後のプール記念碑建立─ペルー出身の日系少女の死
6 おわりに
第3部 アジア世界に住むこと
第8章 留学生の住環境と戦前日本社会
─丸山伝太郎の翠松寮を基点として─ (木下 昭)
1 はじめに
2 戦前の在日留学生
3 留学生の住まい
4 日華学会の留学生支援
5 翠松寮
6 おわりに
第9章 満洲の住宅と衛生
─『満洲建築協会雑誌』の分析から─ (佐藤 量)
1 はじめに
2 満洲の住環境
3 住宅モデルの形成と葛藤
4 満洲農業移民の実験住宅
5 おわりに
第10章 ユダヤ人のHomeとは何か
─社会心理学的見地から─ (吉村季利子)
1 はじめに
2 国家建設
3 占領と家屋破壊
4 Homeと社会的信念
5 まとめにかえて
コラム 在韓日本人の「ジオッコ」暮らし
─韓国の低所得者の居住施設─ (今里 基)
1 韓国の低所得者の居住施設と外国人
2 在韓日本人の半地下暮らし
3 半地下住宅の終焉
あとがき ─移民の「食」から「住」、そして「衣」へ─
CONTENTS
著者紹介
                                                 
編者紹介:
河原典史(かわはら のりふみ)
歴史社会学、満洲研究。立命館大学生存学研究所客員研究員。主要業績:『戦後日中関係と同窓会』(彩流社、2016)、「戦後日本のなかの引揚者─満洲の記憶と想起をめぐって─」梅村卓・大野大幹・泉谷陽子編『満洲の戦後 継承・再生・新生の地域史』(勉誠出版、2018)、佐藤量・菅野智博・湯川真樹江編著『戦後日本の満洲記憶』(東方書店、2020)
佐藤 量(さとう りょう)
歴史社会学、満洲研究。立命館大学生存学研究所客員研究員。主要業績:『戦後日中関係と同窓会』(彩流社、2016)、「戦後日本のなかの引揚者─満洲の記憶と想起をめぐって─」梅村卓・大野大幹・泉谷陽子編『満洲の戦後 継承・再生・新生の地域史』(勉誠出版、2018)、佐藤量・菅野智博・湯川真樹江編著『戦後日本の満洲記憶』(東方書店、2020)
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