現代日本の消費生活をたえず念頭におきながら、生活経済という領域を経済学の対象に設定したテキスト。生活手段体系、家計、生活時間・生活行動、家事労働という4つのファクターと、生活の個別化と社会化という2つのトレンドから構成した学生のための全11章。
第1章 消費生活の担い手
1-1.人口とその構成
1-2.世帯とその構成
1-3.地域住民
1-4.階級
1-5.消費者とは誰のことか
第2章 生活手段体系
2-1.経済システムにおける生活手段
2-2.生活様式の素材的側面としての生活手段体系
2-3.生活手段体系をめぐる人びとの経済的社会関係
2-4.現代資本主義における生活手段体系の特質
2-5.消費者物価指数(CPI)にみる生活手段体系の実態と動向
2-6.「消費動向調査」にみる耐久消費財の普及率と平均使用年数
2-7.住居の現状
第3章 家計:収入と資産
3-1.家計とは何か
3-2.資本制経済における家計(いわゆる家庭経済)―賃金労働者世帯の家計
3-3.家計調査
3-4.家計における所得と資産の格差拡大および貧困の増大
3-5.「全国消費実態調査」にみる家計資産とその格差
第4章 家計:支出と貯蓄
4-1.2人以上の世帯のうち「勤労者世帯」の家計支出の推移
4-2.平均的世帯像を超えて
4-3.近年の家計における消費支出の動向―消費不況
4-4.貯蓄の動向
4-5.消費動向および生活意識に関する調査
第5章 生活時間・生活行動
5-1.生活時間の本源的な区別
5-2.生活時間の区分の仕方
5-3.賃金労働者(雇用者)家族における生活時間の性格規定
5-4.資本制経済における生産力と生産関係の展開と生活時間の変化
5-5.生活時間統計調査
5-6.生活時間の国際比較
第6章 家事労働
6-1.生活時間調査にみる家事労働の実態
6-2.ワークライフバランス
6-3.家事労働の貨幣評価
6-4.家事労働と資本制経済
6-5.近代家族関係の経済的基礎
第7章 生活の個別化と社会化
7-1.4つのファクターの相互関係
7-2.生活の個(人)別化
7-3.生活の社会化
7-4.生活の共同(協同)化
7-5.生活のなかの市場化と産業化
第8章 消費者問題と消費者の権利、運動
8-1.消費者被害の大量発生と社会問題化
8-2.消費者問題の発生要因
8-3.規制緩和と消費者の自立
8-4.消費者の権利
8-5.消費者法と消費者行政
8-6.消費者行政の課題
8-7.消費者運動
8-8.企業の社会的責任と消費者志向
第9章 生活様式としての福祉国家
9-1.生活のなかの福祉国家
9-2.福祉国家の原理、類型、機能
9-3.日本における福祉国家:制度的特徴と問題点
9-4.社会保障の所得再分配機能
第10章 生活保障と持続可能な消費
10-1.資本制生活様式の展開
10-2.さまざまな構想
10-3.幸福と貧困
10-4.生活者主権を基礎とした生活保障
第11章 消費生活の経済理論(概説)
11-1.生産と消費―アダム・スミスと古典派経済学
11-2.労働と生活―マルクスの労働=生活様式論とマルクス派の消費論
11-3.市場と交換―新古典派経済学の個人主義的アプローチ
11-4.所得と消費―ケインズと消費関数論
11-5.集合(=集団的)行為としての消費―制度学派のアプローチ
11-6.消費社会論―ボードリヤール
11-7.現代経済学批判
角田修一(かくたしゅういち)
立命館大学経済学部教授。社会経済学、生活経済論、経済学方法論。
著作:『生活様式の経済学』(青木書店 1992年)、『「資本」の方法とヘーゲル論理学』(大月書店 2005年)、『概説社会経済学』(文理閣 2011年)その他編著多数。
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