リベラルかラディカルか。分割か統合か。ルフォール、ゴーシェ、カストリアーディスらフランス政治哲学者の「人権論争」を紹介し、翻って、わが国の人権と政治をめぐる近年の状況を批判的に検討する。
プロローグ
第1部 分岐点としての「人権と政治」――「分割」と「統合」――
1.「歴史の終わり」とリベラル・デモクラシー
2.「二重底」のネオ・リベラリズム――「人権は政治ではない」
3.「統合」のラディカル・デモクラシー――「人権の政治」
4.「自律」のデモクラシー――「人権と政治」
インターメッツオ
1.個人主義の昂進と人権――われわれはどこに向かうのか?(第1部での議論の前提)
2.人権と国家の両義的関係――近代政治哲学のパラドックス(第2部での問題の所在)
第2部 人権の十字路――「分割」か「統合」か――
1.リベラルな人権論(リベラル・デモクラシー)における二つの系譜
2.ラディカルな人権論(ラディカル・デモクラシー)の統合原理
3.日本の分岐点
エピローグ:ラディカルな人権論と統制的理念
補 論 日本における人権意識の特徴――自律的社会と雑種文化との距離――
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