セーフティ・ネットの栄養学　微量元素科学の誕生から生体制御科学の時代へ

栄養不良時代から飽食の時代まで、科学はなにを考えてきたか―。ミネラル・ビタミンの発見をはじめ、酸素運搬体ヘモグロビンの研究、そして最新の活性酸素説に至る近現代栄養学発展のプロセスを追跡。

はじめに

第1部　植物栄養学
第1章　栽培実験
1.1　栽培実験への長い歩み
1.2　19世紀無機栄養論―Liebig―
第2章　微量元素栄養学
―微量元素科学の誕生―
2.1　欠乏症研究―“一元論”―
2.2　過剰症研究―“二元論から多元論へ”―
2.3　植物中の元素発見
2.4　微量元素生物学の形成・発展

第2部　動物栄養学
第1章　激動の19世紀栄養学
序：新生するパラダイム群
1.1　三大栄養素説・四栄養素説
1.2　タンパク質栄養学
1.3　無機元素栄養学
第2章　動物体中の元素発見
2.1　元素発見の動向
2.2　微量元素の世界―元素普存説の系譜―
第3章　欠乏症栄養学
3.1　壊血病研究
3.2　明治初期の実践的脚気研究
第4章　ビタミン栄養学
序
4.1　20世紀前半McCollumの研究輪郭―動物栄養学の一傾向―
4.2　ビタミンパラダイムの誕生
4.3　『栄養学新説』の生命力
第5章　微量元素科学
―“必須性と毒性”相互作用の科学―
5.1　Hartの活躍
5.2　McCollumの貢献
5.3　Underwoodの時代

第3部　必須・毒の制御統合機構栄養学
―連続するパラダイム転換―
第1章　生理機能説時代（ヘモグロビン研究―必須性の証明―）
―19世紀Liebigから20世紀Warburgまで―
1.1　酸素運搬体ヘモグロビンの研究（1840s―1860s）
1.2　生体内酸素活性化説（1840s―1860s）別名生体酸化説
1.3　酸化酵素発見
1.4　鉄役割説の本格化（Warburgの時代）
第2章　生体制御機構説時代
2.1　生体制御機構研究の前半
―酸素運搬系：ヘモグロビンの構造・機能研究―
2.2　生体制御機構研究の後半
―鉄代謝機構研究―
2.3　生体防御機構説時代を拓く
2.4　生体防御機構説に新展開（lLSIシリーズ）
―最新栄養学の系譜にみられる新パラダイム―
2.5　日光・鉄・酸素複合系毒性防御機構説
―統合的な目標に向かう―
2.6　日本の活性酸素説（新パラダイム）
―壮大な防御機構説入門―
2.7　結び“原始生物の鉄利用進化学”の輪郭

おわりに
文献
人名索引