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大内照雄 著
A5判並製 265ページ
定価:本体2200円+税
ISBN978-4-89259-808-1
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占領期から朝鮮戦争までの「基地の街」京都の姿を描く知られざる戦後史。接収・慰安施設・戦争協力・基地被害、そして権力の弾圧と民衆の抵抗を当事者の証言も交えて詳述する。
序 章 憲法と日米安保体制の狭間で
隠された米軍基地/「逆コース」を引き継いだ日本/民衆史として見た米軍基地/二〇一六年六月、沖縄から
第一部 「基地の街」京都
第一章 米軍の京都進駐
1 「敗戦」から「占領」へ
一九四五年八月一五日/侵略戦争の証拠隠滅と連合国軍受け入れ/一九四五年九月二五日─京都進駐
2 第六軍─第一軍団司令部と京都軍政部
西日本の司令部が置かれた京都/京都軍政部
3 米軍基地を支えた日本側の受け入れ機関
終戦連絡京都委員会/京都府進駐軍受入実行本部/米軍駐留を支えた日本政府と京都府
4 「基地の街」の姿
京都に置かれた米軍施設/陸軍第一六師団の接収/個人住宅の接収/京都府の「聖地死守」/身代わりになった植物園/貧困と米軍住宅
5 基地による被害
基地被害のはじまり/占領下の事件・事故/サンフランシスコ講和条約発効後の事件・事故/裁かれない米軍犯罪
第二章 「慰安」施設の設置
1 京都の「慰安」施設
敗戦と「慰安」施設の設置/京都府と「慰安」施設/性の防波堤として動員された女性たち
2 米軍の性病対策と女性の人権
「慰安」施設を求めた米軍/女性たちへの強制的な検査と治療/人権を踏みにじった取り締まり/平安病院と紫草苑
3 「パンパン」とは誰のことなのか?
戦争と貧困の中で/疎外され続けた女性たち
第三章 占領下の民衆運動
1 戦後民衆運動の開始
政党と労働運動/在日朝鮮人運動
2 逆コース下の民衆運動
二・一ゼネストと戦後革命の敗北/労働運動への弾圧と分裂/行政整理、企業整理
3 朝鮮半島の分断と在日朝鮮人運動
在日朝鮮人運動の分解/民族学校への弾圧/朝連の強制解散
第二部 朝鮮戦争下の京都
第四章 朝鮮戦争を支えた京都の米軍基地
1 朝鮮戦争とは何だったのか
2 朝鮮への出兵と第一軍団の朝鮮戦争
国鉄を使って朝鮮へ輸送/第一軍団の派兵
3 米軍のR・R(リターンズ・レクリエーション)センターになった基地・施設
キャンプ・フィッシャーとホテル・ラクヨウ/戦場が持ち込まれたR・Rセンター/基地の街へと変容する地域/R・Rセンターと「パンパン」
4 後方支援基地となった大久保キャンプ
海兵隊の駐留と拡大する基地被害/海兵隊の沖縄への移駐
5 戦争を支えた祝園と舞鶴の弾薬庫
祝園、舞鶴の弾薬庫と朝鮮戦争/アメリカの核戦略と祝園弾薬庫/地域住民への基地被害
6 朝鮮戦争下の米軍基地と住民への被害
通信基地となった陸軍兵器廠と練兵場/野戦病院となった第一日赤病院/軍事演習による付近住民の被害
第五章 朝鮮戦争と京都
1 日本の協力なしには戦えなかった朝鮮戦争
2 京都での戦争協力と民衆の動員
京都府議会の「国連軍」感謝決議と支援キャンペーン/韓国動乱慰問救済委員会/「国連軍」傷病兵慰問運動/日本赤十字と朝鮮戦争/労働者の戦争動員/派兵された舞鶴の海上保安庁
3 朝鮮戦争と兵器産業の復活
京都と朝鮮特需/爆弾部品を生産した新日国工業/兵器産業の戦後史/舞鶴海軍工廠から飯野産業、日立造船へ/島津製作所/兵器産業と労働者
4 戦後史を形作った朝鮮戦争
日米安保体制と米軍の駐留/再軍備と日本軍の復活/
第六章 朝鮮戦争下の弾圧と抵抗
1 戦争の勃発と運動への弾圧
共産党幹部の公職追放と『アカハタ』発行停止/レッド・パージ/集会・デモへの弾圧と公安条例
2 反戦運動と円山事件
共産党の分裂/戦時下の反戦運動/円山事件
3 武装闘争下の反戦運動
朝鮮戦争と在日朝鮮人運動/激化する左派の運動とメーデー事件/武装闘争下の民衆運動/在日朝鮮人運動と日本共産党
4 戦後反戦平和運動の始動
終 章 経ヶ岬から見える京都の戦後
二〇一五年三月二日、経ヶ岬/基地がもたらす被害/軍事基地の歴史/過去と現在
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