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桂島宣弘・長志珠絵・金津日出美・沈煕燦 編
A5判並製 374ページ
定価:本体5000円+税
ISBN978-4-843-2 |
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日・中・韓の気鋭の研究者が東アジアにおける思想史や制度史について、移動と亡命、中華思想と自他認識、帝国と植民地などをキーワードに、国民国家の枠に拘らず多面的に検討。日本の知識と思想を東アジアから読みほどく。
序論(桂島宣弘)
第1部 総 論
第1章 “東アジア”─どのようにみるべきか、どのように作っていくべきか(尹海東)
1 東アジア、どのようにみるべきか
2 東アジアとはなにか
3 東アジア論の大きな流れ
4 下からの東アジア
第2章 ライシャワー(Edwin O. Reischauer)と戦後アメリカの地域研
─韓国学の位置を考える(張世眞)
1 はじめに─地域研究とシンクタンク
2 戦前パラダイムの戦後への軟着陸
3 『東洋文化史』の表象的ナラティヴと深層的ナラティヴ
4 韓国と中国の「悲しき」変異型
5 旗田巍VSライシャワー
6 おわりに─他者の声、批評における新しい伝統のために
第3章 グローバル時代における哲学言説と人文学(安相憲)
1 グローバル時代における哲学言説
2 資本主義体制の本質
3 アメリカとグローバル資本主義
4 グローバル資本主義の危機
5 グローバル資本主義体制における根本的な矛盾
6 グローバル資本主義の展望
7 反世界化運動と代案社会言説
8 グローバル化時代における人文学
8 抵抗的人文学のために
第4章 近代中国知識人の「東方」
─晩年梁啓超の思想的転回を例に(張憲生)
1 はじめに
2 「東方」とは何か
3 一九世紀後半の「東方」認識
4 青年期の「東方」認識
5 晩年の「東方」回帰
6 新しい文明の「化合」を目指して
7 むすびにかえて
第2部 近世思想史研究の新視点
第5章 十八世紀中期の儒学研究と明代学術の受容(石運)
1 はじめに
2 近世前期における学術動向及び明代学術の受容
3 十八世紀中期における動向─明代学術に対する「反芻」と「反徂徠」
4 むすびにかえて
第6章 近世日本の儒教儀礼と儒者
─「東アジア思想史」のための試論的考察(松川雅信)
1 はじめに
2 身分・階層的等差を越える『家礼』─儒者達の自己像
3 「孝」に根差した「儒者意識」の醸成─困難性・不審視の克服
4 儒仏混淆─寺檀制と共存する『家礼』
5 おわりに─「東アジア思想史」へ
第7章 前期水戸学における神器論の波紋
─栗山潜鋒の諸言表をめぐって(田中俊亮)
1 はじめに
2 「自若としての神器」の波紋
3 「神霊としての神器」と「百王一姓」
4 「皇統綿?」と「武将革命」
5 おわりに
第8章 18世紀対馬における「藩」言説
─朝鮮における対馬「藩屏」認識言説との交錯を通じて(松本智也)
1 はじめに
2 対馬における「藩」言説の濫觴
3 対馬「藩屏」言説の朝鮮における対馬認識言説との関係
4 「藩屏」言説の幕藩体制への適合
5 おわりに
第9章 吉益東洞の医学思想の再検討─「万病一毒」論を中心に(向静静)
1 はじめに
2 吉益東洞における「疾医」
3 吉益東洞の「万病一毒」論と梅毒
4 おわりに
第3部 変容する知と移動
第10章 京城帝国大学法文学部の哲学関連講座をめぐる問題提起
─帝国大学との関連性を重視して(許智香)
1 はじめに
2 京城帝国大学哲学関連講座をめぐる二つの論点
3 哲学科の学制定着過程─旧東京大学から帝国大学、そして京城帝国大学ま で
4 京城帝国大学法文学部の哲学関連講座
5 おわりに
第11章 近代歴史学と脱植民地主義
─植民地朝鮮における「正史」編纂の試み(沈煕燦)
1 はじめに
2 植民地朝鮮における「正史」編纂の流れ
3 矛盾と軋み
4 近代歴史学の鬼子
5 おわりに
第12章 史料蒐集と〈植民地〉
─『朝鮮史』史料採訪「復命書」を中心に(長志珠絵)
1 はじめに─近代歴史学と史料蒐集
2 「朝鮮史」編纂と史料採訪
3 「古蹟」調査としての『復命書』
4 「世伝」事蹟と史料のあいだ
5 「民間」史料の蒐集
6 『復命書』を読む─修史官・洪熹とその戦略
7 おわりに
第13章 近代沖縄の内地修学旅行記録を読む
─1910年『三府十六県巡覧記』について(青柳周一)
1 はじめに─前原信明と『三府十六県巡覧記』
2 内地における興奮と悲嘆─九州での経験から
3 誤解と近代化をめぐって─東京の博物館と同郷人たち
4 おわりに─夢の中で泣く
第14章 須永元をめぐる朝鮮人亡命者支援
─甲申政変関係者について(朝井佐智子)
1 はじめに
2 須永元の生涯と朝鮮亡命者
3 金玉均への支援
4 朴泳孝への支援
5 鄭蘭教への支援
6 おわりに
第4部 宗教/知識/権力
第15章 1920年代後半における「如来教」の“創出”
─石橋智信の研究から(石原和)
1 はじめに
2 近代如来教の展開と石橋智信
3 石橋智信の「如来教」像
4 おわりに─石橋の「如来教」像創出≠フ学問的意義
第16章 植民地期朝鮮キリスト教会の「自立」をめぐる諸相
─1930年代の神社参拝拒否問題と「自立」(貴得)
1 はじめに
2 朝鮮教会の「自立」と「海外伝道」
3 一九三〇年代における朝鮮人キリスト教徒の西欧宣教師からの独立問題
3 神社参拝拒否問題─ミッションスクールの閉校及び経営権をめぐる問題
5 おわりに
第17章 植民地朝鮮の新宗教と日本仏教
─新都内の真宗同朋教会と金鋼大道を中心に(朴海仙)
1 はじめに
2 新都内と真宗大谷派
3 金剛大道の同朋教会帰属
4 むすびにかえて
第18章 「民族心理(学)」と植民統治権力の弁証
─東郷実小論(佐藤太久磨)
1 序論
2 植民統治理論における二つの概念─「民族心理」と「分化政策」
3 「民族心理」と「分化政策」の行路
4 終論─「民族心理」と「分化政策」の終演
第19章 戦後京都における国民教育論の展開と「丹後の教育」の発見(富山仁貴)
1 はじめに
2 独自の国民教育論と京都教育センター
3 国民教育運動としての「丹後の教育」の発見
4 おわりに
あとがき
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