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近世・維新期の民衆と法 東九州を中心に

 
 

近世・維新期の民衆と法

後藤 正人 著

A5判上製 251ページ
定価:本体1800円+税
ISBN:
978-4-89259-882-1

 

日向・豊前・豊後地方の逃散一揆、生類憐みの令事件、変死事件、神仏判然法問題などを題材に、幕藩法=近世封建法と裁判の実態を、隠れた民衆の法意識と関連させて検討。近世法研究に一石を投じる労作。

はしがき

序 章 本書の主な課題

第一章 有馬延岡藩の逃散一揆と、現代にいたる顕彰の法意識
    ―百姓、諸藩、幕府・評定所をめぐって―
 一 日本法制史の課題と、その具体化の一試論
 二 山陰・坪屋逃散一揆の史料・文献、逃散一揆の様相、幕府評定所の裁許
 三 逃散一揆をめぐる法意識
 四 山陰・坪屋逃散一揆の顕彰をめぐる法意識
 五 結びと課題

第二章 生類憐みの令事件の取調べ・裁判をめぐる幕藩関係法
    ―倒れ牛・捨て馬を中心に―
 一 生類憐みの令をめぐる取調べ・裁判研究について
 二 豊後国立石領の「倒れ牛一件」をめぐる取調べ・裁判管轄
 三 他領他支配関係にわたる捨て馬事例の取調べと裁判
 四 結びと課題

第三章 日向における自然災害と救済の法社会史
    ―高鍋藩領を通じて―
 一 問題提起
 二 各時期の状況
 三 結びと課題

第四章 高鍋藩の廃藩にいたる部落史
    ―明治初年の秋月氏「藩尾録四」まで―
 一 テーマと研究史
 二 高鍋藩秋月氏「藩日記」にみる被差別民の状態
 三 高鍋藩被差別民の特徴
 四 結びと課題 

第五章 日田代官(西国郡代)管轄下の変死事件をめぐる幕藩関係法
    ―御料と二つの私領にかかわって―
 一 問題提起
 二 博労変死事件をめぐる高鍋藩史料
 三 金次郎変死事件の主な内容
 四 変死事件と類似事件をめぐる取調べと裁判
 五 結びと課題

第六章 維新政府の神仏判然法の具体相
    ―高鍋藩の敬神・廃寺政策―
 一 研究史と課題
 二 慶応四・明治元年における神仏判然の様相
 三 明治二年八〜一二月における神仏判然の様相
 四 明治三年一〜六月における神仏判然の様相
 五 明治三年七〜九月における神仏判然の様相
 六 明治三年一〇〜一二月における神仏判然の様相
 七 慶応四〜明治三年末における神仏判然の時系列的特徴
  八 検討結果をめぐる諸問題

第七章 廃藩置県直後、高鍋地方の民衆運動をめぐる法意識
    ―農民、美々津・宮崎県庁、司法省―
 一 研究史と問題提起
 二 農民たちの法意識
 三 美々津県庁の法意識
 四 宮崎県庁・司法省の法意識
 五 結びと課題

付 章 日向における自然災害と救済に関する史料
    ―高鍋藩日記:天和元年〜明治三年―

終 章 本書の成果と残された課題

あとがき