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現代資本主義と資本・賃労働関係 日独比較を通じて

 
 

現代資本主義と資本・賃労働関係

朝日吉太郎 著

A5判上製 547ページ
定価:4000円+税
ISBN:978-4-89259-901-9

 

なぜ日本の労働者は非正規雇用と低賃金にあえぎ、過労死の不安とともに暮らさなければならないのか、そこから抜け出す道はあるのか。ドイツとの比較を通してグローバル化、デジタル化時代の労働の未来を考える。

第1部 資本・賃労働関係の一般理論

序 章
第1節 富田先生の発見―または、社会政策本質論争の貧困
第2節 マルクスの方法に基づく資本・賃労働関係の理解
第3節 資本・賃労働関係分析の基本は相互前提性と相互排除性による対立物の統一と生きた階級的主体間の関係の構造と
展の分析である

第1章 資本・賃労働関係の一般理論
第1節 資本・賃労働関係
1 資本主義社会の歴史的特徴
2 資本・賃労働関係の一般的範式
3 相互前提性が形成される基礎的関係
第2節 相互排除的側面に根ざして発展する労働運動に照応した相互前提性の展開

第2章 労働市場と資本・賃労働関係
第1節 イノベーションと労働市場
1 イノベーションは資本の常態
2 イノベーションが資本・賃労働関係に及ぼす歴史的影響
3 イノベーションが労働市場に及ぼす影響
第2節 イノベーションによる労働市場変化が資本・賃労働関係に与える影響第3節 資本・賃労働関係一般における相互提性と相互排除性の理解と独占資本主義下の関係分析の課題

第2部 独占資本主義における資本・賃労働関係

第1章 独占資本主義分析と労働貴族論
第1節 労働貴族論の古典から
1 エンゲルスと労働貴族論
2 レーニンと労働貴族論
第2節 労働貴族論批判論の諸特徴
1 帝国主義的超過利潤の枯渇説
2 実感的否定説
3 労働貴族の技術的枯渇説
4 統一戦線配慮説
5 労働者統合宿命論否定説
6 労働貴族論の反省と統合システム変化説
第3節 残された課題

第2章 独占資本主義と労働市場の分断化作用
―ドイツにおける労働市場論の展開を中心に―
第1節 労働市場論展開の背景―「構造化された市場」への注目
1 大量失業とマンパワー政策をめぐる労働市場構造への実践的関心
2 労資関係分析の立場からの関心
第2節 ゼンゲンバーガーの労働市場の分断化論について
1 ゼンゲンバーガーと労働市場分断化モデル
2 ゼンゲンバーガーによる三部分割モデル
3 ゼンゲンバーガーのビジネスサイクル論=〈分断周期仮説〉としての労働市場分断の一般理論
第3節 ゼンゲンバーガーの労働市場論の問題点
1 理論的メリット
2 問題点
3 現代資本主義と労働市場

第3章 独占資本主義と労働者統合手段の高度化
第1節 資本・賃労働関係の高度化
1 レーニンの労働貴族論の立場
2 階級対立の制度化への注目
第2節 階級対立の制度化論
1 ガイガーの主張
2 現代資本主義における「階級対立の制度化」―ガイガーの弱点を超えて

第4章 労働者を資本主義に統合するイデオロギーとその機能
第1節 イデオロギーと資本・賃労働関係
第2節 「統合肯定論」と「統合否定論」
1 「統合否定論」
2 「統合肯定論」―「マルクス主義」批判とマルクス批判―
第3節 「批判理論」とフランクフルト学派の社会認識
1 アドルノの社会認識と非合理主義
2 非合理主義的批判から合理主義的批判への旋回

第3部 現代資本主義における資本・賃労働関係―日独比較―

第1章 戦後の資本・賃労働関係の基本構造
第1節 戦後ドイツの資本・賃労働関係
1 ドイツにおける資本・賃労働関係の理解をめぐって
2 労働組合と事業所従業員委員会の関係を貫くもの
3 コンフリクトの発生とデュアルシステム
4 1980年代の労働運動の攻勢と財界の対応
第2節 戦後日本の資本・賃労働関係
1 日本における資本・賃労働関係の理解をめぐって
2 日本的労使関係とは

第2章 グローバル化と戦後資本・賃労働関係の再編
第1節 新たなグローバル化の登場
1 グローバル化とは何か
2 方法的見地からみたグローバル化
3 資本の国際化と今日の姿
4 20世紀末のグローバル化の特徴
第2節 ベルリンの壁崩壊とドイツ財界の新たなグローバル化戦略の確立
1 労使関係改革の基本方向
2 1990年代のドイツ労働運動をめぐって
3 ドイツ財界の21世紀戦略と欧州グローバル化の新ステージ
第3節 グローバル化と日本における資本・賃労働関係の変化
1 グローバル化前夜の状況
2 グローバル化という追い風と日本財界の年功賃金制度・長期雇用慣行への攻勢
3 成果主義賃金の導入
4 長期雇用慣行への攻勢―「新日本的経営」と労働市場構造の転換

第4部 デジタル化と資本・賃労働関係の未来
第1章 インダストリー4.0と労働の未来
第1節 ドイツにおけるデジタル化
1 インダストリー4.0
2 インダストリー4.0が開く未来 素材的側面
第2節 インダストリー4.0とドイツ財界・政府の21世紀戦略 社会的側面
1 ドイツの本気度
2 意気込みの2つの社会的背景
3 インダストリー4.0とドイツ労働運動

第2章 日本におけるデジタル化と労働運動
第1節 日本のデジタル化とインダストリー4.0
1 背景としてのドイツ・ヨーロッパの財界戦略
2 遅れる日本
3 遅れた理由
第2節 未来社会の生産力基盤としてのインダストリー4.0と労働運動の課題

終 章