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信仰と越境のウイグル 「進歩」の共和国から復興のイスラム共同体へ

 
 

信仰と越境のウイグル

中屋昌子 著

A5判上製 174ページ
定価:2500円+税
ISBN978-4-89259-928-6

 

 

中国の宗教統制のゆえに亡命を余儀なくされた新疆のウイグル。彼らは何故、いかにしてトルコへ逃れたのか。現地でのインタビューを交え、トルコのイスラム共同体で暮らすウイグルの実態を明かす。

【序 章】
 
はじめに
 1.問題の所在
 (1)新疆ウイグル自治区、およびウイグルの民族名称について
 (2)ウイグルの亡命の歴史的経緯
 (3)信仰と越境
 2.ウイグルのイスラム復興、および宗教政策に関する先行研究
 3.イスラム復興によるディアスポラ
 (1)ディアスポラとしてのウイグル
 (2)イスラム復興ディアスポラとしてのウイグル
 4.イスラムと国家
 5.調査の概要
 6.本書の構成

【第1章】 新疆における宗教統制の成立過程
 はじめに
 1.「階級」とイスラム(1949年から1957年)
 2.社会的機能の解体とイスラム(1958年から1965年)
 3.イデオロギー闘争の激化とイスラム(1966年から1978年)

【第2章】 新疆におけるイスラム復興と宗教統制
 はじめに
 1.「五行」にみられる信仰の自由と制限
 (1)「信仰告白」(kelime shahadet)
 (2)「礼拝」(namaz)
 (3)「喜捨」(zakat)
 (4)「断食」(roza)
 (5)「巡礼」(hej)
 2.中国共産党の宗教理論─新疆における宗教統制の背景
 (1)宗教統制の法体系と「時間」・「空間」からの統制
 (2)宗教統制の宗教理論
 (3)「宗教の五性」論の背景
 (4)自由と統制の交錯
 3.新疆における宗教統制の実態
 (1)「政治屋イマーム」と愛国精神
   1)「政治屋イマーム」
   2)「愛国は信仰の一部である」(要旨)
   3)説教の政治化とムスリムの反応
   4)イマームの政治動員
   5)説教大会
   6)イマームの登録制度
 (2)新疆における脱宗教化─女性管理
   1)ブウィ管理の開始
   2)ニカーブ着用の規制
 (3)新疆における脱宗教化─未成年者管理

【第3章】 サラフィーのウイグル
 はじめに
 1.なぜサラフィーになり、ディアスポラになったのか
 2.7・5ウルムチ事件とは何だったのか
 3.ウイグルに同情を寄せるトルコ
 4.信仰に命をかけた亡命
 (1)二度と戻れない故郷、新疆からの離散
 (2)中国との決別、そしてムスリムとしての再出発
 (3)先の見えない道のり
 (4)あっけない国境越えマレーシアへ
 (5)ムスリムの国で受けた屈辱と一筋の希望
 (6)安住の地トルコへ

【第4章】 民族主義者はいかにイスラムの覚醒を経験したのか
 はじめに
 1.敬虔な父を責める
 2.共産党員になる
 3.民族主義者になる
 4.クルグズスタンでの日々
 5.イスラムの覚醒
 6.マレーシアでのウイグル支援

【第5章】スーフィーはなぜトルコに来たのか
 はじめに
 1.社会主義政権下での信仰生活
 (1)ヤルカンドから北京へ─マドラサでの学び
 (2)信仰を秘して生きる
 2.中国からトルコへ
 (1)「文革による汚れ」の浄化、改革開放による覚醒
 (2)期待と失望のサウディアラビア
 (3)ドイツで発見したイスラム共同体
 (4)治安の悪さに怯える日々
 3.トルコでディアスポラとして生きる

【第6章】トルコで見出したイスラム共同体
 はじめに
 1.協会の設立のための手続きと設立目的
 2.協会の主な活動
 (1)ウイグルのための身分保証
 (2)医療支援の請願
 (3)教育支援の請願
 3.協会を支える人々
 (1)協会を支えるウイグル
 (2)協会を支えるトルコの諸機関とトルコ人

【終 章】

参考文献

あとがき

 

 

   
     
     

著者紹介; 中屋昌子(なかや まさこ)
同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科(グローバル社会研究博士)
同志社大学一神教学際研究センターリサーチ・フェロー
同志社大学フェミニスト・ジェンダー・セクシュアリティ研究センター・嘱託研究員
近畿大学非常勤講師(中国語)、武庫川女子大学非常勤講師(文化交流史、多文化共生)