民主主義社会の危機の時代に研究者としてどのように対峙するか。本書は法哲学者・故中村浩爾教授追悼の意を込めて総勢25名の研究者がそれぞれの学問分野からアプローチした広範かつ多様性に満ちた内容になっている。
第1部 民主主義と思想・歴史
第1章 川島武宜『所有権法の理論』に係る覚書 (広渡清吾)
第2章 「歴史における進歩」とどう向き合うか (笹倉秀夫)
第3章 人間の尊厳と個人の尊重をめぐって (牧野広義)
第4章 法概念としての「人間の尊厳」の内容と位置について (豊川義明)
第5章 「友愛」思想と新たな社会
─人が尊重され、つながりが実現される社会に─ 櫻井善行)
第6章 政治的自由の概念とその複数の捉え方
─コンスタン、バーリン、ロールズ─ (濱 真一郎)
第7章 「イングランドには奴隷は存在しない」2 Salk 666 をめぐって
─ホウルト─ジェイコブ─ブラックストン─シャープ─(深尾裕造)
第8章 民主的なコモン・ローの探求
─歴史法学からルウェリンまで─ (戒能通弘)
第9章 19 世紀初頭ドイツ・フランスにおける陪審制とプレス犯罪
─プレスの自由の観点から見た議論と立法─ (的場かおり)
第10章 明治前期民事判決原本・刑事裁判記録に現れた「代人」の活動
─司法アクセスの担い手の歴史的具体像─ (三阪佳弘)
第2部 民主主義と理論・実践
第1章 民主主義と労働(西谷 敏)
第2章 日本型雇用解体過程の雇用・失業
─「労働市場の三位一体改革」の意図するもの─ (伍賀一道)
第3章 公務非正規労働者と人権 (川西玲子)
第4章 新自由主義的構造改革のマルクス経済学的分析 (森本壮亮)
第5章 「人にやさしい統計学」の構築をめざして
─「ジェンダー平等統計に例示を求めて─ (福島利夫)
第6章 文化多様性の経済学 (中谷武雄)
第7章 上田庄三郎と闡明会の活動 (北川健次)
第8章 自由大学運動と基礎研と (田中幸世)
第9章 「科学と民主主義」の21世紀展開
─「3・11 フクシマ」の人類史的位置再考─ (後藤宣代)
第3部 民主主義と法・裁判
第1章 統治行為論の再検討
─「国民の政治的批判」に着目して─ (奥野恒久)
第2章 自衛隊への住基台帳基本4情報の紙媒体等提供の法的検討 (本多滝夫)
第3章 条例による議会の議決事項追加の意義と可能性 (大田直史)
第4章 道警ヤジ排除事件国家賠償請求訴訟の現在
─第一審判決と控訴審判決を分けたもの─ (豊崎七絵)
第5章 価格をめぐる合意の効力 (大島和夫)
第6章 恒藤恭と憲法問題研究会 (桐山孝信)
中村浩爾先生 履歴・業績
執筆者紹介
編者名:
桐山孝信(大阪公立大学名誉教授)
本多滝夫(龍谷大学法学部教授)
奥野恒久(龍谷大学政策学部教授)
的場かおり(大阪大学高等共創研究院〈兼〉大学院法学研究科教授)
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