図書出版文理閣
 
ホームへ既刊案内へ近刊案内へ著作集・シリーズへ自費出版ガイド本のご注文へお問い合わせへ  
 
美富子の部屋へ
 

図書出版 文理閣
   周辺地図のページへ

〒600-8146
京都市下京区七条河原町西南角
TEL.075-351-7553
FAX.075-351-7560
https ://www.bunrikaku.com

 

土着的近代研究

 
「研究年報『土着的近代研究』創刊にあたって」
「自己責任」を基軸とする現代社会では、一部の富裕層と貧困層の格差は拡大するばかりである。この道筋の進行は、民衆に絶望感を生み出し、人間の絆を断ち切り、世界の不安定化をもたらす。その結果、最終的には戦争の不可避性へとつながりうるものである。
このような現代世界の中心には、自己の外部性としての「他者」を否定した「自己中心主義」が存在する。「欧米型近代」では、「自己中心主義」と神から与えられた「理性」は一体化され、それを体現した「個人」は「神の代理人」となる。そのような個人によって構成される「国民国家」は、宗教における絶対性・超越性を内在化し、それ自体が批判を許さぬ「絶対性」を持つにいたる。この自己中心主義はグローバル化し、イスラエルによるパレスチナへの一方的武力攻撃、などにその具体化された姿を見ることができる。世界を席巻している「市場原理主義」は自己中心主義の現代化に他ならない。
あらゆる分野で混乱を深めつつある現代社会において、世界のそれぞれの地域における、生活に根差した土着の宗教・文化・社会システムを二重化し、そこに他の地域とも共通する普遍的なものが存在することに「めざめ」させられることが必要であろう。そして、その「めざめ」を基軸にして、「欧米型近代」が生み出し続けている、現代の困難課題の取り組みへと、われわれの発想転換をはかるべきであろう。普遍的なものは、それぞれの土着文化・思想を通して理解が可能となり、その普遍的なものは「七世紀からの超近代性」論(板垣雄三)で提起されている諸概念の繋がるものである。「土着的近代」は、平和的共生を志向るすものであり、土着を通して把握できる普遍的概念を基軸にして、今日の課題解決に取り組むことによって「欧米型近代」を自己中心主義から解放された近代へと転ずるはたらきを持つ。その具体例を、東学の創立者・崔済愚の「開闢」思想やアパルトヘイト撤廃を成し遂げた南アフリカの「ウブントゥ」思想などに見ることができる。
われわれは、「欧米型近代世界」のまっただ中に暮らしているため、その世界を転じることは、容易いことではない。この度、われわれが研究年報『土着的近代研究』を発刊するのは、今日の世界のあり方に矛盾を感じている、多様な人々との対話を通して、共に現実を切り開く共通の展望をつくりあげたいからである。今後、この年報が平和的共生世界構築の一助となることを心から祈念するものである。

土着的近代研究 「研究年報『土着的近代研究』創刊にあたって」北島義信 より    
  
北島 義信(きたじま ぎしん)   
四日市大学名誉教授      
真宗高田派正泉寺住職     
生泉寺国際宗教文化研究所所長 
現代アフリカ文学・宗教社会論

 

 

二項対立・欧米型近代を超えて

土着的近代研究 創刊号 二項対立・欧米型近代を超えて

イスラム、アフリカ、韓国を事例に「欧米型近代」とは異なる「土着的近代」構築の可能性を論じる。

土着的近代研究会 編
A5判並製 定価:本体1500円+税
ISBN:978-4-89259-939-2
詳細

 
土着的近代と平和構築

土着的近代研究 第2号 土着的近代と平和構築

平和的共生社会構築を目指す「土着的近代」化について、日本・韓国の実践を報告・検討する。

土着的近代研究会 編著
A5判並製  定価:本体1500円+税
ISBN:978-4-89259-955-2
詳細