リーラー「遊」

　日本における、伝統的宗教のひとつに浄土真宗があります。親鸞は古代的世界から中世的世界への過渡期の人々に、生きる力を与えてくれました。民衆の生活に密着してきた浄土真宗には、「近代」を乗り越え、未来を切り拓く多くの思想的財産があるに違いありません。そのためには歴史的現在の視点にたって、親鸞を読み解くこと、浄土真宗の現代化が求められることは、言うまでもありません。この課題について、総合的に取り組むために、本誌『リーラー「遊」』を発刊することにしました。「遊」とは、仏が「悩む苦しむ民衆」を、喜びをもって救う行為を意味します。本誌がそのような存在となることを期待して、発刊の言葉とさせて頂きます。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　リーラー(「遊」)vol.1 北島義信「あとがき」より
北島　義信　【きたじま　ぎしん】
四日市大学環境情報学部教授　真宗高田派正泉寺住職
アフリカ文学・宗教と社会

（１）浄土真宗と現代

北島義信編

A5判　138ページ　本体1400円＋税　2000年刊
ISBN978-4-89259-341-3

【目次】
いま、真宗をどうとらえるか
本物の宗教を求めて
真宗信心と現代
近世民衆教育史研究の現状と文字学習文化
抑圧された黒い祈りーカリブ黒人文学に描かれた「叫びの宗教」（Shouter Baptist)
太宰治と内村鑑三ー〈文学〉と〈自然〉の対立および聖書観の変容
親鸞における「不思議」の意味
束縛の世界にあって心の戸籍を移す人達
道草の果てに
「清め塩」への視点

（２）浄土真宗と教育

北島義信編

A5判　189ページ　本体1400円＋税　2001年刊
ISBN978-4-89259-380-2

【目次】
宗教と教育
親鸞と『華厳経』
浄土往生考―浄土真宗の人間形成論
人間を育てる教育―真宗者の立場から
浄土真宗と教育
戦後大学の源流―前川清治の二著に学ぶ
丹羽文雄論覚え書き―「鮎」を中心に
大学でカリブ文学を教えること
愛の渇望時代を迎えて
光は東方より―中村元先生を訪ねて
個の回復
日本歴史教科書における仏教史と親鸞の扱いをめぐって

（３）浄土真宗と平和

北島義信編

A5判　187ページ　本体1400円＋税　2003年刊
ISBN978-4-89259-434-2

【目次】
巻頭言　もう戦争はいやです
真宗と靖国―小泉首相の靖国参拝を問う
「真俗二諦」としての「精神主義」
仏教と平和思想
東海村臨界被曝事故から見えてきたこと
自我の発達と救済―正信偈に学ぶ
浄土真宗と平和の実現
高田恵雲の『教行証文類』総序の読み方
現代の問題を親鸞の視座に―自殺・いじめ・児童虐待
平和のための「記憶」―エドウィージ・ダンティカの「語り」の文学世界
光に会うということ
近代美術と浄土真宗―丸木夫妻「原爆の図」について

（４）浄土真宗と社会・政治

北島義信編

A5判　163ページ　本体1400円＋税　2006年刊
ISBN978-4-89259-505-9

【目次】
巻頭言　ひとつのこだわり
鷲塚騒動、その検証と継承について
浄土真宗と社会政治―「原理主義」ＶＳ「龍樹・親鸞」
南無阿弥陀仏考
葬式仏教　いいじゃない；自立への道
いのち三題
東井義雄の教育思想における浄土真宗の教え
信仰（＝ｆａｉｔｈ）を忘れた社会とそうでない社会―人が人として生きるための精神性
丹羽文雄の習作期についての覚え書

（５）浄土真宗と共生

北島義信編

A5判　138ページ　本体1400円＋税　2007年刊
ISBN978-4-89259-552-3

【目次】
巻頭言　共生
行動する慈悲（Ａｃｔｉｖｅ　Ｍｅｔｔａ）　その一歩をふみ出すために
浄土真宗と共生
諸仏考―浄土開顕を促す者たち
「共生」と三つのコミュニケーション―差異のカリブ、自然の里山、そして神々の沖縄
共生社会とキリスト教
なぜオウム事件は起きたのか―宗教社会学的一考察
浄土真宗と近世の絵師―岩佐又兵衛と酒井抱一について